虫歯の常識 ウソ・ホント!?
歯の痛みや治療の恐怖はよく知っているけれど、その発生のメカニズムは知らないことが多いと思います。 あなたの虫歯についての知識はどれくらいか、○×テストにチャレンジしてみて下さい。
1)虫歯を引き起こすバイ菌は母親(保育者)から感染する。
正解は○。
ミュータンス菌は、多くの研究から2~4歳頃に主に
母親(保育者)から感染することが明らかになっています。
つまり、母親の口にミュータンス菌が多いと子供にも多くなるという訳です。
虫歯を引き起こすバイ菌は母親(保育者)から感染します。
2)歯磨きさえしていれば虫歯にはならない。
正解は×。
歯磨きさえすれば良いというわけではありません。
歯磨きをすることはプラークを除去することを意味します。
歯磨きは虫歯を予防する上で大切なことなのですが、
四六時中何かを食べていたりすると細菌の栄養源は絶え間無く供給されることになり、
細菌の最良のすみかが提供されていることになります。
歯磨きをいくらやっても焼け石に水という感じになりますね。
3)うがい薬(マウスリンス)を使うと口の中のバイ菌を殺せるので、虫歯を防ぐことができる。
正解は×。
うがい薬だけでは、虫歯は防げません。
うがい薬も最近は多くの種類が市販されています。
殺菌力はもちろんありますが、プラーク中の細菌には
グルカンというバリアーがその効果を阻止します。
うがい薬だけに頼るのは危険です。
4)甘いお菓子を食べなかったら虫歯になることはない。
正解は×。
甘いものだけが虫歯の原因ではありません。
食べるものの内容よりも食べる時間が問題と言えます。
また、食物の好みや食習慣は家族構成・家族の嗜好・しつけに
左右されることが多いです。一人だけ(子供だけ・大人だけ)の問題ではありませんね。
5)キシリトール入りのガムをかめば虫歯にはならない。
正解は×。
特にキシリトールはミュータンス菌の歯の面への付着を阻止したり、
数を減少させることができるため虫歯の予防に効果的です。
ただし、市販のガムにもキシリトール入りと表示してありますが、
含有量は製品によってまちまちです。
多くても50%程度ですから、信用し過ぎるのは危険ですよ。
6)唾液(つば)は虫歯予防の上で重要な要素である。
正解は○。
歯の一番外側はエナメル質といって、
食物をかむためと歯の本体をなしている象牙質を
保護するために体の中で最も硬くて緻密な組織になっています。
つまりカルシウムやリンを含む結晶構造になっています。
これはとても酸に弱く、簡単に溶けてしまいます。
(脱灰)エナメル質では最表層というより少し中に入った部分から溶け出すことが多いです。
しかし、一方では修復も簡単に行えます。
唾液中に含まれるカルシウムやリンの濃度・唾液のpHにより
溶けてしまった部分にまたカルシウムが再沈着できる(再石灰化)のです。
虫歯というのはこの脱灰と再沈着のバランスが崩れたときに起こるのです。
小規模な脱灰と再沈着は私たちの知らない所で日常的に繰り返されているのです。
7)歯の質は歯が生えたときからずっと変わらない。
正解は×。
生えたばかりの歯は形は歯そのものですが、
その結晶構造は未成熟です。唾液に触れることにより
結晶構造は強固なものになっていきます。
フッ素が歯の周囲にあればより強固なアパタイト結晶が作られます。
8)歯周病(歯槽膿漏)の治療後、虫歯になることが多い。
正解は、○。
象牙質はエナメル質の内側にある歯の主体を為す組織ですが、
高齢になったり無理な歯磨きを長期間続けていると歯と歯茎の
境目のところから口の中に直接、象牙質が露出するようになってきます。
エナメル質よりも脱灰されるpH(酸性度)が高く、虫歯になりやすいです。
歯周病の治療を受けている人は歯茎の炎症状態が改善されてくると
歯の根の部分が見えてくることがあり、その部分は虫歯になる危険度が高くなります。
9)フッ素は虫歯予防ができると言われているが、中毒を起こす危険性がある薬なので使わないほうがよい。
正解は、×。
フッ素は毒性を有する物もあり、取り扱い上注意しなければなりませんが、
フッ素配合の歯磨き剤は取り扱いの心配をする必要はほとんどありません。
積極的に使っていくことが必要な人もいるのです。
10)虫歯の早期発見・早期治療は大切なので、虫歯が小さいうちに詰めておこう。
正解は、×。
虫歯を早期に見つけることは、大切です。再石灰化を促進できる方法や
虫歯になる危険度を見つけられるからです。
しかし、見つけたからすぐに削って詰め物をするのは、
これからの虫歯治療の方向とは言えません。
虫歯ができた原因に対する解決策・再石灰化の進み方等を
歯科医療スタッフの管理の下であなた自身が一生虫歯を作らないために
自分にあった方法を実行していくことが大切です。